横浜F・マリノスがケヴィンマスカット率いる上海新港を2-0で下し、見事リーグステージ首位追加を決めた。次は8位のクラブとラウンド16でホームアンドアウェイで対戦する。ここでは、2025年2月19日(水)に浦東フットボール・スタジアムで行われたACLエリート リーグステージ第8戦「上海新港vs横浜F・マリノス」観戦記を記す。
目次
前戦から5名変更
すでにリーグステージ突破が決まっているので、今後の過密日程を考慮する劇的なスタメン入れ替えを期待した。
特に、前線3名はいずれも3試合連続先発のため疲れの蓄積が気になる。
1位通過がかかるこの試合を勝利で締めくくりたいのは理解できるが、次のJ1優勝候補広島戦はできる限りベストメンバーで挑みたい。
彼らを倒すにはロペス選手、ヤン選手、植中選手は不可欠であり、できるなら早い時間帯で交代させたがったが……
【前半】3バック返上し4バックで
フォーメンションに大きな注目が集まったが、この試合のF・マリノスには4バックが採用された。
これまでなら、両サイドバックが一気に前線へと駆け上がって攻撃参加したり、偽サイドバックとして変幻自在なポジションどりしたりするのがF・マリノスのやり方だ。
しかし、この試合では比較的オーソドックスな陣形を保つ、いわゆる、守備を重視した「ホーランド流マイルド4バック」とでも名付けたくなるシステムが見られた。
昨年までのF・マリノスを知る者にとってはやや物足りなさを感じるが、大きなリスクを冒さないため実に安定感に優れている。
中でも、キニョーネス選手の守備力は抜群であり、コンビを組むウォルシュ選手はこの日がデビューとは信じられないほどF・マリノスに馴染んでいる。
一方、攻撃に目を向けると少しばかり迫力にかけるのが否めない。
やはり、サイドバックが積極的にオーバーラップしたり、3列目から攻撃参加したりするなど、見る限りもっと前線に人数をかけたい想いが募る。
それでも、前半のF・マリノスシュート数7本は、先日の新潟戦0本から比較すれば大きな飛躍であり、後半に大きな期待が持てる内容であった。
【後半】目覚ましい植中選手の活躍
この試合では、植中選手の活躍がひと際目を引く。
攻撃では多くのシーンで前線に顔を出し、守備においても積極さが際立ち、相手の攻撃を積むことにも余念がない。
とても3戦連発スタメンに名を連ね、長い時間プレーしているとは思えない躍動ぶりだ。
今年にかける強い想いが十分に伝わる。
そして、F・マリノスに先制点をもたらしたのがその植中選手だった。
64分 植中選手Goal!
前半の破壊力の物足りなさを払拭するかのように、後方選手も絡んで攻撃を組み立てる。
山根選手のシュートが発端となり、鈴木選手のボール奪取から植中選手と天野選手のワンツーでボールがゴール前へ運ばれ、最後は植中選手が左足で確実にしとめた見事な連携。
多くの選手が絡み合いボールがスムーズに流れるそのシーンは、F・マリノスらしさ全開だ。
さらに、その勢いのままF・マリノスは攻撃を加速させると、井上選手と天野選手のコンビが追加点をもたらす。
69分 天野選手Goal!
天野選手のサイドチェンジが右から駆け上がる途中出場の井上選手に渡ると、そのままドリブルで持ち込みセンタリング。
そして、ゴール前へと走り込んだ天野選手が、井上選手からのボールを胸で押し込みF・マリノスがリードを広げる。
やはり、今年のジュン アマノは一味も二味も違う。
韓国移籍前に感じた悲壮感は微塵も感じられず、今季は昨年に増して表情に余裕が溢れている。
ゴールへの嗅覚も人一倍秀でていて、「今年は俺がやってやる」という気持ちに満ち溢れているようだ。
最後は、ボランチがディフェンスラインまで落ちてきて守りを固めるなど、試合の締めくくり方も見事。
今季初の複数得点で勝利できたことに加え、4バックで無失点に抑えられたことは、新生F・マリノスに大きな自信をもたらしたに違いない。
監督の考えが垣間見れた一戦
ACLの上海申花戦に加え、先日の新潟戦70分くらいまでは、あまりにも守備的な戦術のためゴール獲得までの道筋が見当たらず、見る者としてはモヤモヤした気持ちが募るばかりであった。
しかし、新潟戦70分過ぎくらいから4バックへとシフトすると、F・マリノスらしさが全開して同点とし、あわよくば逆転へと至るほどスリリングなサッカーが展開された。
そして、本試合では最初から4バックを採用。
3バックありきではなく、状況に応じて4バックにシフトチェンジする、監督の柔軟な采配が垣間見れた気がする。
次は、J1優勝候補筆頭の広島との対戦が控える。
上海申花戦や新潟戦のようにベッタリ引けば広島の餌食になるのは必至であり、そうさせないためにも、監督の豊富な経験にもとづく発想で、F・マリノスらしい攻撃サッカーを仕掛けるのを期待したい。
そうすれば、強豪広島を下すことは不可能ではないだろう。

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