すでにF・マリノスはルヴァンカップGS突破が決まっているだけに、消化試合的な内容になっても不思議ではありません。しかしながら、今回は消化試合とは程遠い見所にあふれた試合となりました。ここでは、2023年6月18日(日)にニッパツ三ツ沢球技場で行われたルヴァンカップGS第6節「横浜F・マリノスvsサガン鳥栖戦」のレビューを記します。
F・マリノスのスタメン
今節は週末開催ということもあり、F・マリノスのスタメンは先週のリーグ・柏戦から2名を入れ替えるにとどまった。
CFには、アンデルソン ロペス選手に代わり西村選手。右ワイドには水沼選手が入り、ヤン マテウス選手がエウベル選手に代わって左ワイドを務める。
また、当初スタメン入り予定の山根選手が、試合前のアップ中内転筋に違和感を感じたということで、渡辺選手がサブメンバーからスタメンに変更。急遽、村上選手がサブメンバー入りすることに。
そのほかのサブメンバーには、先日の天皇杯で好セーブを見せたオビ選手、柏戦で劇的な逆転ゴールを決めた宮市選手、この試合でゴールしてリーグ戦出場をアピールしたい吉尾選手や植中選手らが名を連ねた。
一方、鳥栖のスタメンは前節のリーグ・札幌戦から10名を入れ替え。F・マリノスとは対照的に、リーグ戦であまり出場機会に恵まれない選手を中心にメンバーが組まれた。
【前半】アクシデント発生するもリードで折り返す
F・マリノスは、マルコス選手と西村選手が横並びとなる、先日のルヴァンカップ・ホーム札幌戦で見せたゼロトップのようなフォーメーション。
試合出だしから攻勢をかけるF・マリノスに対し、ほぼ主力以外のメンバー構成にもかかわらず、鳥栖も果敢にF・マリノスゴールへと仕掛けていく。
すると、思わぬ形でF・マリノスに先制点のチャンスが訪れる。
24分 西村選手Gooooooooal!(1-0)
マルコス選手からのパスを受けて西村選手が放ったシュートが、ペナルティエリア内の相手選手の手に当たってハンドの判定。
キッカーとなった西村選手は落ち着いてゴール右隅に決めて、F・マリノスが先制点を挙げる。
試合後のインタビューで西村選手曰く「最初マルコスが言った言葉が分からなくて、マルコスが蹴ると思ったのですが、後から聞いたら責任持てっていう感じだったので、僕が蹴りました。」と西村選手らしいコメント。
ところが、このマルコス選手にアクシデント発生。
33分 F・マリノス選手交代
マルコス選手→植中選手
ドリブルの際の競り合いによる脳震盪のためプレー続行が不可能となり、急遽植中選手がマルコス選手に代わりピッチに立つことに。
その植中選手は、途中キーパーと1対1の場面を迎えるが欲しくも決め切ることができず、F・マリノスは1-0のまま前半を折り返す。
なお、その後マルコス選手は病院へ直行したものの、翌日には元気そうなコメントを出してくれました。本当に大事に至らず良かった。ありがとうマルコス!
【後半】交代選手が大爆発!
両チームとも、後半最初からの選手交代は無し。後半立ち上がり4分、F・マリノスに追加点がもたらされる。
49分 西村選手Gooooooooal!(2-0)
左でボールを持つヤン マテウス選手が相手を股抜きで交わすと、ゴール前の状況を確認して正確にグラウンダーで折り返す。
それに反応した西村選手が、寸分の狂いもなく左足で合わせて本日2点目のゴールをゲット。F・マリノスが2-0とリードを広げる。
その後、再び植中選手に相手GKと1対1になるビッグチャンスが訪れるも、またしてもGKに阻まれネットを揺らすことができない。
55分 F・マリノス選手交代
ヤン マテウス選手→井上選手
55分には、2点目の西村選手のゴールをお膳立てしたヤン マテウス選手が、先日の天皇杯で技ありゴールをマークした井上選手と交代。井上選手は、ヤン マテウス選手がいた左ワイドにそのまま入る。
66分 F・マリノス選手交代
水沼選手→宮市選手、西村選手→吉尾選手
さらに66分、マスカット監督は宮市選手と吉尾選手をピッチへと投入。吉尾選手は西村選手の位置にそのまま入り、宮市選手が左ワイドに入ったことで、井上選手は水沼選手がいた右ワイドに回る。
67分 宮市選手Gooooooooal!(3-0)
するとその直後、吉尾選手からのパスを受けた宮市選手が、相手との駆け引きからカットインして右足を振り抜くと、ボールは美しい軌道を描きながら相手ゴールへと吸い込まれる。
まさに、昨年の浦和戦で挙げたF・マリノス移籍後初のゴールを再現したかのようだ。これで、F・マリノスは3-0とする。
68分 植中選手Gooooooooal!(4-0)
さらにその1分後、相手選手に競り勝った上島選手が前方の植中選手にスルーパス。植中選手はディフェンスの裏に抜け出し、さらにはフォワードらしい巧みなドリブルでGKを交し、3度目の正直の末、本日最初のゴールをマークした。
72分 吉尾選手Gooooooooal!
72分には、井上選手からのスルーパスを受けた植中選手のシュートは相手GKに弾かれたものの、前線に詰めていた吉尾選手が頭で押し込みF・マリノスが5-0とする。
75分、井上選手が自ら倒されて得たPKはクロスバーに阻まれ得点ならず。
75分 F・マリノス選手交代
渡辺選手→村上選手、上島選手→實藤選手
78分、永戸選手がペナルティエリア内でハンドの反則を取られて本日2枚目のイエローカード。これにより永戸選手は退場となり、F・マリノスは数的不利の状況を強いられることに。
しかし、その後のPKは一森選手がしっかり止めて相手に得点を許さない。
89分 植中選手Gooooooooal!
そして、89分には、松原選手のスルーパスでディフェンスラインの裏に抜けた植中選手が、またもや相手GKを交わして本日2点目のゴール。
先の2度の失敗を帳消しにするとともに、激しいフォワードのポジション争いに名乗りを挙げる形となった。
終了間際には鳥栖に得点を許すも大量6点のゴールを挙げて、F・マリノスが6-1で鳥栖に勝利した。
MOMは植中選手と一森選手
本日のマン・オブ・ザ・マッチには、この日2点をマークした植中選手とPKを阻止するなどしてチームの勝利に貢献した一森選手が選出。
植中選手にとっては今後のリーグ戦への出場、一森選手はリーグ戦でのさらなる活躍に弾みがつく受賞。
2名とも初のお立ち台(?)ともあり、とても嬉しそうな表情が印象的だった。
底力の違いを見せつけられた
メンバーの実力の違いこそあれ、F・マリノスの選手たちの底力の強さと決定力の差が鮮明になった試合だった。
特に、前半は先取点こそ奪えたものの、F・マリノスのシュート数6本に対し、鳥栖は8本のシュートを放つなどして鳥栖の健闘が光る内容だった。
とは言え、鳥栖は幾度のチャンスを迎えるも決定力に欠き、F・マリノスのゴールネットを揺らすことはない。
一方、F・マリノスはチャンスを確実に得点に結びつけるなどして、鳥栖との決定力の違いが鮮明となった。
また、試合前には山根選手の突然の交代があったり、前半にはマルコス選手のアクシデントが発生。さらには、後半になると永戸選手が2枚目のイエローカードで退場となるなど、数々の試練が巻き起こる。
しかしながら、F・マリノスの選手たちをはじめ、監督やスタッフたちもそれらに動じることなく目の前の試合に集中。
まさに、F・マリノスの王者としての底力の強さと、勝利への執念をまざまざと見せつけることができた試合と言える。
この試合に勝利したことで、ルヴァンカップGSを首位で突破することに成功。次のPS準々決勝第1戦はは9月6日(水)、第2戦は9月10日(日)の開催となる。
最後までご覧いただき本当にありがとうございます。
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