胸を借りるには十分すぎる相手との戦い。できるなら勝点3をもぎ取りチームに勢いをもたらしたいが、何せ広島は今季優勝候補筆頭クラブ。勝利することは容易くはない。ここでは、2025年2月23日（日）にエディオンピースウイング広島で行われたJ1第2節「サンフレッチェ広島vs横浜F・マリノス」観戦記を記します。
4バック主流へ!?
2試合連続で後ろ4枚での船出だ。やはり、F・マリノスには4バックがしっくりする。
前回の上海戦で鈴木選手の活躍が功を奏したように、今回もサイドバックが攻撃に厚みを加えるに違いない。
中でも、松原選手の積極果敢なオーバーラップや、ヤン選手への地を這うスルーパスが一つの鍵を握るだろう。
やはり、松原選手には右サイドバックが最高に似合う。
逆サイドに位置するウォルシュ選手も楽しみであり、初先発を果たした遠野選手との連携に興味が集まる。
【前半】想定内で折り返す
攻守の切り替えの速さや正確な位置どり、パスの正確性など、どれを挙げても広島の成熟度はF・マリノスを上回る。
さすが、今季優勝候補筆頭クラブだ。
とは言え、名将が3年間積み重ねたクラブと、新監督で始動したばかりのクラブとの差があらわになったに過ぎない。
あくまでも「想定内」。
むしろ、我々の想像を超えたのは、広島の攻撃に対峙するF・マリノスの守備力の高さ。
前半多くの時間帯で主導権を握られるも、結果的に打たれたシュートは2本だけであり、早くもホーランド監督の失点減対策が身を結びつつある。
特に、新加入キニョーネス選手の危機察知能力はずば抜けており、力強さや動きの素速さで広島攻撃陣を凌駕する。
例えば、危険察知能力については、20分に田中聡選手にシュートを放たれた際、逆サイドをフリーで駆け上がる中野選手のケアを怠らない。
強さについては、見る限り空中戦ではほぼ一方的に勝利し、際どいシュートを許さないことで証明済みである。
まるで、ボンバー中澤とチアゴ選手が融合したかのようだ。
一方、F・マリノスの攻撃については、広島のマンツーマンに苦しめられてフィニッシュまでの道のりはあまりにも遠い。
たとえシュートまで持ち込めても相手の寄せがあまりにも素早く、ジャストミートできなかったり、枠を捉えられなかったりして得点できない。
それでも、結果的に0-0で折り返せたことは、押され気味だったF・マリノスにとっては上出来であり、むしろ後半における得点の期待が大いに高まった。
【後半】痛すぎた先制点献上
後半立ち上がりから、スキッペ監督は東選手に代わり菅選手を投入。
おそらく、札幌でのF・マリノスに対する菅選手の活躍を高く評価し、早めに手を打ってきたように思われる。
49分 ジャーメイン選手Goal（1-0）
ジャーメイン選手の放つシュートがキニョーネス選手の左手にあたりPKの判定。
前半を完璧な形で押さえ込んでいただけに、あまりにも残念な形での先制点献上だった。
不運なのか、不注意なのか議論が分かれるところだが、これまでの彼のクラブに対する貢献度の高さを鑑みると、致し方ないと納得せざるを得ない。
その後も広島の攻撃に見舞われるが、選手たちは必死に応戦。
56分には、ヤン選手とのコンビネーションで松原選手がオーバーラップすると、センタリングを挙げたボールが相手ディフェンダーにあたり、その浮いたボールを植中選手がボレーシュートで枠を捉える。
さらに、74分、ホーランド監督が一気に4枚替えすると、明らかにF・マリノスに勢いが傾く。
中でも、鈴木選手の早い攻守の切り替え、エウベル選手の相手マークをはがす高い技術、天野選手の神出鬼没なパフォーマンスが一際目を引いた。
最後の1秒まで固い広島ディフェンスに挑むF・マリノス攻撃陣だったが、ネットを揺らすには至らず1-0のまま終了のホイッスルが鳴り響く。
悔しいのはもちろんだが、広島相手に大きな手応えを掴むことができた内容だった。
攻撃パターンに磨きをかける
ディフェンスについては、公式戦4試合を消化して失点数「2」と大いに検討している。
1失点目は新潟のクロスの質と、トラップからシュートへ持ち込む技術の高さを評価せざるを得ない。
2失点目については、あえて「不運」と言わせてもらう。たとえキニョーネス選手の手に当たっていなくとも、朴選手の守備範囲外だったと納得しよう。
いずれも耐え難い守備崩壊による失点とは捉えられず、むしろ監督たっての目標である守備力は着々と改善に向かっている。
一方、オフェンスについてはまだまだであり、逆に言えばかなりの伸び代があると感じる。
昨季までのように、両サイドバックが大いに攻撃参加したり、偽サイドバックで相手の守備を翻弄するなど、リスキーな攻撃パターンが影を潜めているため迫力を欠くのは致し方ない。
今年流の攻撃パターンを確立するには、度重なる試合や練習、ピッチ内外での会話で選手同士がお互いにプレースタイル理解を深め合うのが急務だ。
今季リーグ戦はまだ2試合を終えたばかり。
一つひとつ試合するごとに試行錯誤を繰り返して成熟を果たし、最終的にはリーグ制覇することに期待したい。
最後までご覧いただき本当にありがとうございます
コメント