首位町田との対戦とあって、一抹の不安を抱えながら国立競技場に足を運びました。
しかし、キックオフ直後からその不安は掻き消され、一歩も引けを取らずに戦う選手たちを頼もしく感じました。
F・マリノスらしさが爆発し、まさに「原点回帰」といったところでしょうか。
ここでは、2024年7月20日(土)に国立競技場で行われたJ1第24節「FC町田ゼルビアvs横浜F・マリノス」観戦記を記します。
目次
F・マリノスのスタメン
監督交代などで準備期間が限られていたこともあってか、スタメン変更は鹿島戦から1名のみにとどまりましたね。
鹿島戦で左SBを務めた加藤聖選手に代わり、加藤蓮選手が先日のG大阪戦以来のスタメン起用です。
GKには飯倉選手が入り、リーグ戦3試合連続でゴールマウスを守ります。
サブメンバーには、6月1日鹿島戦を最後にリーグ戦出場の機会がなかった水沼選手がメンバー入り。
やはり、彼を待ち望んでいたサポーターも多く、試合前の練習の際には一際大きな「水沼コール」がピッチに鳴り響いていました。
また、先日U-23代表バックアップメンバーに選出された植中選手もベンチに控え、オリンピック前最後のゴールを狙います。
【前半】中盤は従来の「正三角形」
気になるフォーメーションでしたが、ハッチソン監督はひとまずキューウェル氏がチャレンジしてきた4-3-3を封印。
従来の「4-2-3-1」として、中盤を逆三角形から「正三角形」とするダブルボランチを採用してきましたね。
これにより、守備の安定感が確実にアップし「まずはしっかり守って一気にゴールに向かう」という、本来のF・マリノスらしさが戻ってきたのを多くのサポーターが感じたのではないでしょうか。
一方、町田は、前の試合でサイドから起点を作られていた平河選手や、前線からのプレスに定評ある藤尾選手がチームを離れたり、右サイドで存在感を示すバスケス・バイロン選手が控えに回ったりしていることで、いわゆる町田らしさからは程遠い印象でした。
33分 ロペス選手Goal!
高い気温や湿度の影響もあってか、「らしさ」を欠く町田相手に対し、F・マリノスは自分たちの「らしさ」を存分に発揮してゲームをコントロールします。
特に、ダブルボランチに戻したことによる悪影響は全く感じられず、喜田選手と渡辺選手のコンビネーションは抜群。
中でも、渡辺選手が比較的自由に動くことで全体的な連携が担保され、天野選手のセンスあるポジションどりも相まってボールと選手がよく動くのが感じられました。
すると、左サイドでボールを持ったエウベル選手がカットインしてシュートを放つと、下田選手のハンドを誘発。
PKを獲得すると、キッカーのロペス選手が確実に仕留めてF・マリノスが先制点をゲットします。
43分 天野選手Goal!
先制点を挙げても、F・マリノスの攻撃が緩むことはありません。
とにかく、町田に勝利するには複数点をゲットすることが必須ですから。
43分には、エウベル選手からのスルーパスを加藤蓮選手がダイレクトでグランダーでの折り返し。
ゴール前に走り込んできた天野選手が、こちらもダイレクトで左足を合わせてF・マリノスに追加点をもたらします。
この時の天野選手の動きが素晴らしく、加藤蓮選手にボールが渡る際には一旦ゴールから遠ざかる動きを見せていました。
そして、加藤蓮選手が折り返すと一気にゴール前へと加速。
相手DFがロペス選手に気を取られていたこともあり、天野選手は難なくフリーでゴールゲットに至っています。
【後半】最後までF・マリノスらしく
「自由に立ち位置を変えて攻撃と守備にアクセントを加えるF・マリノスのSB」に対抗するかのように、後半最初から、町田はバスケス・バイロン選手と、湘南から期限付き移籍の杉岡選手を投入。
黒田監督は、両サイドの主導権を握り得点を奪う作戦を講じます。
59分 天野選手→西村選手
F・マリノスは追加点を奪った天野選手に代わり、西村選手をピッチに送り込みます。
西村選手については、今回張り切りすぎてイエローカードをもらってしまいましたね。
しかし、彼が激しく追い込むことで相手のミスを誘発したり、ピンチの目を詰んだりして相変わらず抜群の運動量でチームの勝利に貢献したのは間違いありません。
F・マリノスに欠けていた「激しいプレッシング」や「走り負けないスタミナ」を呼び戻してくれたのが見ていて嬉しい限りです。
71分 エウベル選手→宮市選手、加藤蓮選手→加藤聖選手
町田が強化してきたサイドの力を封じ込めるかのように、宮市選手と加藤聖選手を投入。
エウベル選手については、だいぶ本調子に戻ってきた印象です。
先制点のきっかけを作ったり、加藤連戦選手との連携も悪くなかったりして、今後はゴールが量産できるのではないでしょうか。
82分 ヤン選手→水沼選手、ロペス選手→植中選手
先述したように、水沼選手は久々のリーグ戦出場。
植中選手はパリへ旅立つ前のラストマッチとなります。
中でも、植中選手はゴールを奪うことに集中していて、凄まじくピッチを駆け回っていましたが、あと少しという場面があり残念ながらゴールならず。
帰国後の彼のひとまわり成長した姿に期待が集まります。
85分には、スローインの流れから町田に得点を奪われ、途中交代の芦部選手のドリブルなどでピンチを迎えることも。
しかし、F・マリノスノの選手たちは最後まで集中を途切らせることはありませんでした。
元々、守備の固さはF・マリノスの伝統的お家芸ですから、本気出せば町田のクセある攻撃など難なく跳ね返す力は備わっています。
試合は1-2のまま終了し、鹿島に続き上位町田を破って2連勝達成。
良い雰囲気でサマーブレイクを迎えられることで、その後の試合にも勝利への期待感が大きく膨らみます。
「強いマリノス」復活の予感
前節鹿島戦の後半に続き、F・マリノスらしさ全開の内容でした。
まずは、暫定的ながらハッチンソン監督の初陣が飾れたことに胸を撫で下ろします。
そして何より、首位をゆく町田を撃破できたことがとてつもなく大きな収穫。
F・マリノスらしさも存分に感じられ、上位進出も狙える予感です。
ハッチンソン監督の試合後のインタビューで、「より自由度を与えました。選手たちが考えながら動き、自由度を高めることでお互いにさまざまなポジションを取れるようになります」というコメントがありました。
この言葉通り、ピッチ上の選手たちは存分に躍動し、楽しみながら戦う姿勢が感じられたのは私だけではないはず。
元々F・マリノスは能力が高い選手ばかりであり、一方で素直さも兼ね備えていることから、あまり足枷しすぎると自由を奪われてしまい、本来の力を発揮しずらくなるのかもしれませんね。
ハッチンソン監督のやり方は、ひとまず今のF・マリノスを良い方向に導いているようです。
その選手たちの頑張りに呼応するかのように、ゴール裏のサポーターの応援の盛り上がりはスタジアムに一体感をもたらしていました。
これらの状況を見る限り、チームが「強いマリノス」へと変貌を遂げられる日は決して遠くないことを実感。
決して、これまでのキューウェル監督のチャレンジを否定するつもりはありません。
今回は、素直に勝利を心から喜びたいと思います。
最後までご覧いただき本当にありがとうございます
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