アタッキングフットボールであれほど他を圧倒した横浜F・マリノスはどこに行ってしまったのか。
今のチームからは「強いF・マリノス」のかけらもありません。
一旦闇の中を迷いだすと、そこから抜け出すのがどれほど困難かを痛感させられます。
ここでは、2024年7月3日(水)にニッパツ三ツ沢球技場で行われたJ1第16節「横浜F・マリノスvsサガン鳥栖」観戦記を記します。
F・マリノスのスタメン
東京ヴェルディ戦から2名を入れ替えるにとどまりました。
左SBには、渡辺選手に替わって加藤聖選手が5月17日(水)のアウェイ新潟戦以来9試合ぶりに先発。
前の試合で左WGを務めた宮市選手に替わり、エウベル選手が6月26日(水)のアウェイ福岡戦以来3試合ぶりにスタメンに返り咲きます。
サブメンバーには、福岡戦で先発復帰したナム選手が控えとしてチームをバックアップ。
また、調子を戻しつつある宮市選手もベンチで出場機会をうかがいます。
【前半】相変わらず工夫が感じられない攻撃
連敗中のF・マリノス。
試合開始後しばらくは、ピッチに立つ選手たちからは何としても勝利をもぎ取りたいという気迫が感じられました。
実際、選手たちも熱い意気込みで試合に臨んだのは間違いないでしょう。
中でも、好調ヤン選手をはじめ、調子を戻しつつあるエウベル選手や、久しぶりに先発を務める加藤聖選手らが躍動する姿が目を引きました。
しかしながら、相変わらず攻撃は個人の力に依存するシーンが多く、コンビネーションから相手を翻弄する連動性がほとんど見られません。
したがって、フィニッシュまでは持ち込めるものの相手を崩し切るまでには至らず、たとえシュートを放っても枠を捉えられなかったり、相手に防がれたりして得点に結びつけることができません。
キューウェル監督の試合後のコメントでは「内容は悪くなく、チャンスを作ることが大事」という主旨を述べていますが、これほどまで得点を生み出せないのでは言い訳にしかなりません。
せっかくアンカーシステムを採用して前線に多くの人数をかけているにもかかわらず、それぞれが絡み合わなければ人数を割くだけ無駄ですね。
10連戦中、固定したメンバーで戦っている割に、工夫や進歩が感じられないのは何故でしょうか。
【後半】一発のカウンターに沈む
それでも、ブラジル人トリオの崩しからエウベル選手のシュートがポストを叩いたり、ヤン選手とのコンビで裏に抜け出した天野選手がシュートを放ったりするシーンでは、大いに得点を予感させてはくれました。
実際には、このようのシーンを多く作ることで、相手が混乱してスペースが生まれ、ひいてはフリーなる選手が確実にシュートをゴールに結びつけられるのではないでしょうか。
しかし、66分に天野選手がピッチを後にすると、積極的にスペースに走り込む選手が皆無となってしまい選手からは躍動感が消えていきました。
79分に投入されたナム選手にその役割が期待されましたが、時すでに遅しといった感じでしたね。
最後は、5バックと1点を死守する鳥栖の熱い壁を崩すことができません。
結局、マルセロ・ヒアン選手の身体能力と横山選手の素早い動きから生まれたカウンターの1発に泣き0-1で敗戦。
F・マリノスは4シーズンぶりの3連敗を喫し、またしても浮上のきっかけを失うこととなります。
喜田選手とコルリの想いに報いる
後半途中には、喜田選手が激しい口調と態度で仲間たちを鼓舞したり、相手に激しくプレッシングしたりして、停滞するチームを盛り立てる姿が印象的でした。
それでも、そのほかの選手からは喜田選手の姿に共感し、熱くプレーする様子や雰囲気が感じられなかったのが残念で仕方ありません。
「ファミリー」とは名ばかりで、それぞれの気持ちがバラバラになりはじめているのが感じられたのは私だけでしょうか。
試合終了後の挨拶時には、スタジアムのありたこちらでブーイングが飛びはじめていました。
しかし、コールリーダーの「まとまろう!」の一言でひとまずその場は丸くおさまります。
最もブーイングを浴びせたいのはコルリのはずでした。
それでも、マリサポとしてのプライドや、選手と選手、選手とサポーターの溝がさらに開くことへの危惧が、コルリの的確な状況判断を導いたに違いありません。
次のG大阪戦では、そんな喜田選手やコルリの想いに報いるプレーを選手たちからは期待したいですね。
最後までご覧いただき本当にありがとうございます
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