シーズン序盤とはいえ、最新の順位でチームは最下位に沈む。キスノーボヘッドコーチが監督に就任し、リスタートを切ることとなった横浜F・マリノス。一刻も早く勝点を積み上げ、まずは降格圏を脱出し、できるなら優勝争いにも加わりたい。
俺たちが求めるマリノスではない!
とにかく勝てない、得点できない。
ボールを保持しても出しどころに苦慮して後方で回すばかり。
いざ前線に供給を試みても、苦し紛れのパスは相手の餌食となり逆襲を喰らい、得点するどころかシュートにまで至らない。
セットプレーでは何度やられただろうか。
セットプレーからの失点は今に始まった事ではないが、今季はそれを取り返すだけの攻撃力がないのだから致命的だ。
一人ひとりはどれも優秀な選手ばかりなのに、一度狂った歯車を元に戻すのは容易ではない。
かつて、俺たちが心震わせた「強いマリノス」はどこに行ってしまったのだろう。
誇らしかったアタッキングフットボール
現状のマリノスを憂うのは、あまりにもサッカースタイルが以前とは乖離しすぎて、魅力的な内容からは程遠いからだ。
2018年、ポステコグルー氏がF・マリノスの監督に就任した際、採用を試みたアタッキングフットボールはあまりにも刺激的だった。
近頃リーグを席巻するリアクションサッカーとは異なり、圧倒的に試合を支配して多くの得点を奪うスペクタクルな内容に誇らしささえ感じた。
当初は攻撃と守備のバランスに欠き、思うように結果に結びつけることができず苦慮したが、戦術が浸透した翌2019年には早くもリーグ制覇を成し遂げる。
続くマスカット監督が指揮する2022年、多少戦術的な味付けは変わるものの、前監督の攻撃的戦術が踏襲され再びシャーレを勝ち取る。
期待を寄せたのは間違いないが
オーストラリア人監督の成功で気を良くしたF・マリノスフロント陣。
三たび同国の監督を獲得するも、結果的に2度あることは3度なかったね。
2024年、オーストラリア代表経験が豊富で、当時セルティックでコーチを務めていたハリー・キューウェル氏を新監督として招聘するが、成績不振でシーズン途中で解任される。
ただし、前線により多くの選手を配置するアンカーシステム採用により、得点力アップが図られることを期待したのは間違いない。
ところが、いざ蓋を開けると同システムの弱点を突かれることが多く、振り返れば、勢いはあっても計画性に乏しく、安易に攻撃へと前のめりしすぎた感が否めない。
続く2025年、オーストラリア路線からの離脱が囁かれる中、イングランド代表やチェルシーでヘッドコーチを務めたホーランド氏に白羽の矢を立てた。
しかし、守備力アップに取り組むあまり、かつての攻撃力はすっかり影を潜めてしまう。
そして、改善された守備力さえも今では崩壊の危機に瀕している。
不可思議な選手起用でチーム内に亀裂を生んだことも要因となり、早々に監督の任を解かれる。
ホーランド氏はコーチとしての経験は申し分なく、キューウェル氏と同等か、むしろそれ以上にF・マリノスを強くすると信じて疑わなかった。
しかし、両者は監督としての実績や経験が乏しいいため、自らが掲げた戦術が壁に突き当たった際の引き出しの無さが致命傷になったと言わざるを得ない。
中でも、ホーランド氏についてはあまりにも素晴らしい経歴ゆえ、彼に対する期待度は半端なく、いざ監督としての才能が貧しすぎると感じた時の落胆は筆舌に尽くしがたい。
とは言え、彼らがF・マリノスに残したこと全てが無駄ではなく、それらを生かすも殺すも今後の取り組み方次第と言える。
腹を括り新監督をサポートする
2025年5月5日、パトリック キスノーボヘッドコーチが正式に監督に就任することが発表された。
当初は暫定的に指揮を執ると伝えられていたが、正式就任であるなら、本人が意識するしないにかかわらず気合の入れ方は格段に向上することは間違いない。
とにかく、前述の2名とは異なり、監督経験が豊富なのが何より安心感を感じさせる(散々苦い経験を強いられただけに…)。
かつてはF・マリノスの監督候補の一人として、マンチェスターCからのお墨付きがあったという話も信頼にも値する。
しかしながら、中には「オースラリア人監督回帰」「いまだにポステコグルー氏の幻影を追っている」などと揶揄する人がいるかもしれない。
それでも、是が非でも結果が求められる現状では、新たに新監督を招聘して一から作り直すよりも、すでに内情を知るヘッドコーチを昇格させる方が現実的だ。
選手からの信頼が厚いのも何よりと言える。
さらに、大島氏がヘッドコーチに就任したことも我々にとっては大変心強い。
特に彼は以前からのマリノスを知り尽くす漢だ。精一杯期待していいんじゃないか。
大島氏の役割の果たし方次第で、チームの行方を大きく左右するだろう。
「オースラリア人監督回帰」上等、「ポステコグルーの幻影の追従」上等!
就任のコメントでキスノーボ監督は「私の目標は、魅力的で競争力のあるサッカーをするだけではなく、皆さんが大切にしている価値観を体現できるチームを育むことです」と述べている。
さらに、西野SDは「勝つ、そして魅力的なアタッキングフットボールを展開していくために、シーズン途中ではありますが、新しい監督のもとリスタートすることになります」と語っている。
ぜひ、かつてのような、いやそれ以上なアタッキングフットボールで「強いF・マリノス」を取り戻してもらおうじゃないか。
我々も腹を括りサポートするよ。
まずは、次節C大阪戦できっかけを掴み、続くホーム4連戦で一気に波に乗りたい。


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